日常的な買い物やネットショッピングではクレジットカードで支払いをしている方は少なくありません。

もちろんクレジットカードは現金の代わりに買い物の代金を支払うことができるものですが、それ以外にもお金を借りることができるキャッシング機能があります。

クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があることはご存じの人も多いでしょう。

しかし、このクレジットカード2つの利用枠はそれぞれ別の法律によって規制されていることは、ご存じでない人もいるかもしれません。

今回はクレジットカードの2つの機能となるショッピング枠とキャッシング枠を法律的な面から解説しましょう。

クレジットカードのショッピング枠とキャッシング枠の関係

クレジットカードの法律

クレジットカードにはカード全体の利用枠があり、さらにショッピング枠とキャッシング枠があります。

まずは、これらの利用枠の関係から説明しましょう。

クレジットカード全体の利用枠は「総利用枠」とも呼ばれていますが、この総利用枠の中にショッピング枠とキャッシング枠が含まれます。

ただし「ショッピング枠+キャッシング枠=総利用枠」ではないことに注意しましょう。

クレジットカード会社によって違いはありますが、一般的には「ショッピング枠=総利用枠」となっています。

以前はクレジットカードには必ずキャッシング枠がありましたが、現在発行されているクレジットカードはキャッシング枠をゼロにすることでキャッシングを利用しないことも可能です。

100万円の総利用枠のクレジットカードで、キャッシング枠が20万円の場合、ショッピング枠100万円の中に20万円のキャッシング枠が含まれるイメージです。

そのためキャッシングを20万円利用すると、ショッピングは80万円しか利用できなくなります。

反対にショッピングを90万円利用してしまうと、キャッシングは10万円しか利用できません。

また、同じクレジットカード会社のカードを複数持っている場合は、カード個別の利用枠の合計金額を利用できるわけではありません。

100万円と50万円、30万円の利用枠のカードであれば、3枚のうち最大の利用枠100万円が3枚合計の利用限度となるので注意しましょう。

つまりカード利用枠はクレジットカードの利用枠であると同時に、カード会員個人に対する利用枠という意味もあります。

ショッピング枠には割賦販売法の利用枠もある

2つのショッピング枠

クレジットカード会社が決定するカード利用枠のほかに、割賦販売法で定められている「割賦利用可能枠」があります。

割賦販売法はクレジットカードのショッピング部分を規制する法律です。

割賦利用可能枠は主にリボ払いや分割払いが利用できる枠のことですが、一括払い以外の支払方法がすべて含まれます。

クレジットカードを新規に申込したときはもちろんですが、カード利用枠の増枠申請やカード更新時にも割賦利用可能枠が計算されます。

計算式は以下のとおりです。

割賦利用可能枠=(年収-生活維持費-年間返済予定額)×90

年収は申込書記載の数字、年間返済予定額は個人信用情報機関のデータから取得しますが、生活維持費は下記の表のとおり法律で定められています。

生活維持費

同一生計人数

1

2

3

4名以上

居住費負担なし

90万円

136万円

169万円

200万円

居住費負担あり

116万円

177万円

209万円

240万円

割賦利用可能枠は、年収から生活維持費と年間のクレジット返済金額を差し引いただけの単純な計算で算出されます。

しかし、この割賦利用可能枠はクレジットカード会社のカード利用枠とは何の関係もありません。

クレジットカード会社は割賦販売法とは無関係に、審査によってカード利用枠を決定しています。

割賦可能利用枠を超えた利用をしても、クレジットカードが利用停止になるわけではなく、カード利用枠の範囲内で一括払いは利用することができます。

キャッシングは貸金業法と出資法で規制

クレジットカードのキャッシングは貸金業

クレジットカードは多くの方が買い物の支払いに使用していますが、お金を借りるためのキャッシング機能もあります。

キャッシングというのはその名の通りクレジットカード会社からお金を借りることができるのです。

したがってクレジットカード会社は消費者金融会社と同じで、貸金業者として登録しています。

そのためクレジットカードのキャッシングやカードローンは、貸金業法と出資法によって規制を受けています。

出資法では貸付金利の上限が定められていて、貸付金額によって年15%~20%が上限となっています。

  • 10万円未満 年20
  • 10万円~100万円未満 年18
  • 100万円以上 年15

カードキャッシングでは100万円といった金額は取り扱わないので、キャッシングでの標準的な貸付金利は年利18となっています。

また、50万円を超える貸付では所得証明書の提出が必要となるので、クレジットカードのキャッシング枠は50万円以下の設定がほとんどです。

貸金業法では貸付金額の上限が定められていて、年収の1/3を超える貸付はできません。

これは単独の貸付金額ではなく、すべての貸金業者からの借入残高や、カードローン・キャッシングの利用枠が含まれます。

つまり年収300万円であれば、他社の利用残高と利用枠で100万円に達していれば、新規のキャッシング枠はゼロになります。

ただし、例外や対象外もあり、事業資金の借入や自動車ローン・銀行カードローンの残高は含まれません。

ショッピング枠とキャッシング枠の法的な規制についてはおわかりいただけたでしょうか?

利用する側の立場ではこうした規制があるため、自由な借入や買物ができなくなっていると感じるかもしれません。

しかし、これらの法的規制があるおかげで、現在ではクレジットカードの使いすぎで多重債務になるというリスクは、かなり減っているというのも事実です。

クレジットカード現金化はショッピング枠の利用となるため貸金業ではない

クレジットカード現金化はショッピングによる利用

2010年6月に施行された改正貸金業法による総量規制によって

  • クレジットカードのキャッシング
  • 消費者金融からの借り入れ
  • その他金融業者からの借り入れ

の貸付総額は年収の3分の1までに制限されるようになりました。

したがって年収が300万円の方は100万円までしかお金を借りることはできないのです。

ではこういった低所得の方がお金を工面するためにはどのような方法があるのかといいますと、総量規制の影響を受けることのないクレジットカードのショッピング枠を現金化する方法があります。

クレジットカードのショッピング枠はお金を借りるためのものではなく、買い物をするための利用枠であり割賦販売法によって規制されているのです。

したがってショッピング枠現金化は年収の3分の1以上でも問題なくお金を工面することができるため多くの方が利用しています。