人間の行動の大半は過去に起きた経験や記憶により本能的に決定していることがあります。
これは昨日今日だけのことではなく、子供の頃からの教えや学んだことも記憶の片隅に残っておりそれらを踏まえたうえで決定しているからです。
つまり人間の脳に記憶されている情報は生まれ育った環境によってある程度は決まっており、同じ時代に同じ地域で生活していれば似たような考え方になるのはない話ではありません。
そんな記憶の中には日々のニュースも刻み込まれています。
ニュースを知るための方法はテレビのニュース番組や新聞が一般的でしたが、今ではスマートフォンからインターネットに接続すればいつでも最新の情報を知ることができるようになりました。
そのため関心のあるニュースを欠かすことなくチェックすることができるのです。
関心のあるニュースは記憶のなかに強く残りその後の行動へ影響を及ぼすこともあります。
たとえばお金が必要になるとカードでお金のショッピング枠現金化を利用していた方がいます。
最初は多少の不安はありましたが利用してみると手軽にお金を工面することができるサービスとしてなんの問題もありませんでした。
しかしある日のニュースでショッピング枠を現金化していた業者が法律に違反したとして逮捕されたと知りました。
このニュースを見てから便利だと思っていたクレジットカード現金化が突然、犯罪を手助けしているように感じてしまったのです。
このようにニュースを流すメディアというのは多くの人間の思考を操っている部分が少なからずあります。
しかしこのメディアというのは一つの情報であり、真実とは異なった解釈ということも無くはありません。
つまり世の中の常識はメディアによって造られているといっても過言ではなく、それが一般論となっていることもあるのです。
ではこのクレジットカードのショッピング枠現金化というビジネスのマイナスな印象はメディアが生んだものであり事実は別にあるのでしょうか?
世間一般的にはクレジットカード現金化は悪質な商売
そもそも「クレジットカードのショッピング枠現金化」という言葉が生まれたのは改正貸金業法による総量規制が施行される少し前のことです。
なぜこの時期にクレジットカード現金化が登場したのかといいますと、
この総量規制というのは簡単に説明しますとこれまで法律では定められていなかった消費者金融からの借り入れ総額の上限が年収の3分の1以下となるものでした。
つまり年収の3分の1を超える借金がある方は新たに融資を受けることはできず、返済のみを強いられることになったのです。
この総量規制で制限されるのはクレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借り入れであり、銀行のフリーローンやクレジットカードでの買い物は対象外でした。
そのため総量規制の影響を受けた債務者が新たな金策の方法としてクレジットカードのショッピング枠で利用できる現金化サービスに駆け込んだのです。
この当時のクレジットカード現金化はカードでお金の買取による方法ではなくオンラインで完結することができるキャッシュバック方式でのショッピング枠現金化でした。
キャッシュバック特典が付いた商品というのはビー玉やおもちゃの指輪といったどう見ても100円以下の価値しかない物をクレジットカードで高額決済させる方法です。
これは景品表示法に基づいた合法なサービスとして営業していた反面、社会問題化しつつある傾向にあったのです。
そして2011年に全国で初めてクレジットカード現金化を行っていた業者が逮捕され違法な商売となりました。
負の印象を誇張する政府や公的機関による注意喚起
このクレジットカード現金化が社会問題化されていた時に政府や消費者庁はクレジットカード現金化を排除するキャンペーンを行い違法性を呼びかけていました。
現在でも公的機関となる各都道府県や日本クレジット協会のホームページでは利用者に対しクレジットカード現金化の危険性や契約違反行為となることを勧告しているのを見かけることがあります。
確かにクレジットカード現金化を利用すれば実質的な債務は増えることになるでしょう。
しかしこれはクレジットカードで買い物をするのと同じですので当然のことです。
さらに現金化の利用が潜在化されることも挙げられておりますが、利用者にとってはお金が必要だからショッピング枠を現金化しており、そう仕向けたのは改正貸金業法による総量規制の影響が大きいのではないでしょうか?
つまり政府が施行した法改正によりクレジットカード現金化の需要が急増したのにもかかわらず、その利用を禁じるのは多くの債務者にとって死活問題にもなる発言とも捉えられるでしょう。
この総量規制は返済が困難な多重債務者を減少させるための法律ですが、結果的に債務がクレジットカード現金化に移行することを予測できなかった政府のミスでしかありません。
そのためクレジットカード現金化を強制的に阻止することはなく警鐘を鳴らす程度にとどまる始末となっており、あとはクレジットカード会社に判断を委ねているようにも感じられます。
クレジットカード会社は現金化行為を認めることはない
換金目的でクレジットカードを使用する行為はどこのクレジットカード会社でも会員規約で禁じられています。
つまりショッピング枠の現金化は換金目的で使用しているため規約違反となりカードの利用停止や強制退会による残債の一括請求をされる可能性があるのです。
各クレジットカード会社のホームページでは公的機関でも注意喚起されているように「クレジットカードのショッピング枠現金化の利用は厳禁!」と所有者に呼びかけています。
したがってクレジットカード会社は現金化を認めてはおらず、所有者に対し注意を促しています。
確かにクレジットカード会社から見れば現金化により債務が増し支払いが困難な状況に陥る可能性があるため利用を禁じていますが、利用者を強制退会させるようなことはまずないでしょう。
なぜならクレジットカード現金化を利用し返済に充てているケースもあり、それで延滞もなく潤滑に支払いが回っているのであれば排除する必要はありません。
つまりクレジットカード会社は現金化行為を認めることはありませんが根絶させようとも考えてはいないのです。
当然ながらホームページでは現金化は利用規約違反としていますが、そこに法的な効力はなく当事者間での契約なのでどのような措置を下すのかはクレジットカード会社が判断することになります。
したがって利用停止等のケースに至るのはごく稀な場合であり、大半は注意程度で済まされることになっているのです。
忌み嫌われながらも消滅することなく続く商売
数年に一度程度のペースで現金化業者が無許可で高金利の貸付を行ったとしてヤミ金融が逮捕された報道を目にすることがあります。
メディアからの視線ではクレジットカード現金化は貸金業であり犯罪として視聴者に向け報道しているのです。
この根源は政府や公的機関による注意喚起の影響となります。
しかしこのメディアや公的機関は当事者ではなく第三者でしかありません。
実際にクレジットカード現金化に関わっているのは
- 現金化の利用者
- クレジットカード会社
- 現金化業者
となります。
過去に法律に違反し有罪判決を受けた事例もあることからクレジットカード現金化は犯罪という解釈もありますが、これは第三者が造り上げたものであり当事者は同じ意見とは限りません。
ではメディアが報道しない当事者のホンネはどうなのでしょうか?
その答えはヤミ金融というレッテルを貼られながらも現在でも堂々と営業を続けることができる現状を見れば一目瞭然でしょう。
したがって今後規制をされることはありますが、形や方法を変化しながらも末永く続いていく商売といえます。